憧れの場所で出会った服
- primarytomoko
- 2022年11月1日
- 読了時間: 3分
出身地の岐阜県を紹介する仕事をさせていただく機会があります。
もう夏前の記憶になりますが、7月冒頭に岐阜県郡上市石徹白(いとしろ)にある「石徹白洋品店」へ伺いました。

郡上市とはいえ、郡上踊りで有名な八幡からさらにさらに山奥へ。スキー場が集まる白鳥高原を抜けると、突然山の中がぽっかりと開けたような集落があり、そこに250人ほど人々が暮らしています。
集落に入った瞬間、ふわっと神聖な空気に包まれたような気持ちになりました。あれは気のせいでしょうか?
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石徹白には2000年ほど前に祀られ始めた神社「石徹白中居神社」があります。白山信仰が盛んになった頃からは、白山への通り道として賑わった場所。
宮司さんは世襲制であり、かつては(江戸時代であっても)藩主の影響を受けず、宮司による自治が行われていたのです。
その神社へ向かう場所、神域に入る部分の入り口には紙垂(しで)が飾られていました。ここから先は神様のエリアだと。
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そんな神々しささえ漂う石徹白は豪雪地帯で、道も整備されておらず、ほぼ閉ざされた里でした。そこで人々は夏にとうもろこしや米を育て、冬には家にこもって手仕事をしながら生計を立てていたと。
その地で生まれたのが、石徹白独自の衣類です。自分たちで育てた麻や、藍を使って作る服。布を無駄にしないために直線断ちをするのに、複雑なパズルのような型紙を駆使して人の身体にぴったり寄り添うように仕上げる立体的な服。四角と小さな三角を集めて生み出す、動きやすい衣類です。
長く忘れられていたその服を、現代的に甦らせたのが「石徹白洋品店」です。
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築140年の古民家を解体し、再構築したショップは新しいのに懐かしい空間でした。
代表的なズボン「たつけ」のほか、「はかま」や「越前シャツ」など様々なアイテムがずらり。国産のリネンやコットンをベースに、自分たちで育てて発酵させた藍や、近隣で採取した植物(クルミとか栗とか、花とか)を使って布を染め、服に仕立てるのです。
オーナーさんは岐阜市出身で、東京で働いた経験を経てこの地へ移住した人々。
とても清々しい空間と、肌触りのいい服に癒されました。
ものすごく時間がなくて、1時間ちょっとで話をうわーっと聞いて撮影した記憶。
本当はもっとゆっくり服を見たかった!
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でも時間がない中で、なんとかして一本ズボンを買いました。
私はリネンの「はかま」というゆるっとしたパンツを。「たつけ」はスリムに見えて、そちらも惹かれましたが。。。。
「はかま」は穿いていないような軽い履き心地で、涼しくて、夏中そればかり穿いていました。
またいつか、ゆっくり訪れてみたい場所です。
冬は豪雪のためにショップは閉じて、オンラインのみになるそう。
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