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山本文緒さんについて

【自転しながら公転する】


自分にとって、読書のルーツの一部とも言える直木賞作家の山本文緒さん。


過去には「恋愛中毒」「あなたには帰る家がある」などがドラマ化されています。


「みんないってしまう」という短編集の「裸にネルのシャツ」を読んでから、ずぶずぶとハマっていったのはもう20年以上前のこと。


そこはかとなく溢れてくるのは「喪失」と、それでもなお前を向くかすかな希望。


実に7年ぶりの新作が出たということで、購入しました。小気味よく展開するポップな文章とは裏腹に、人の心の奥底の「ずるさ」「矛盾」「恣意的な衝動」をリアルに描く感じにモヤモヤしながら読み進めるこの感じ。


作者はそもそもティーンズ小説出身で、少女漫画が大好きで、いまも「少女漫画を読むときのドキドキハラハラ感、そしてその後のハッピーエンド的なもの」を小説でいかに形にするかを目指しているようなことをTwitterで発言しており。


「少女漫画好きだった大人が、大人になって文字の羅列によるストーリーを読む」時にちょうどいい小説なのかもしれません。


これ褒めてる?


大丈夫?


基本的には大好きです。


でも前作の「なぎさ」は途中で脱落してしまって、今度は大丈夫かしらと訝しむような姿勢で挑みました。読めた。良かった。


しかし、小説家が自作を売るために「かなり前からインスタとTwitterで公式アカウントを解説し、自らめちゃくちゃ頑張って宣伝して、なおかつテレビなんて絶対無理そうなのに【あさイチ】に出て長時間喋る」という「自前広告宣伝」を展開している姿にしみじみしました。重版がかかるまでは本当にヒヤヒヤドキドキしながら頑張っていらっしゃった。


年を重ねてもポップな感性を持ち続ける、その瑞々しい文体が好きです。




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