したたむ 、という世界。
- primarytomoko
- 2020年10月2日
- 読了時間: 4分
更新日:2020年10月14日
【『したたむ』という世界】

したたむ(古語)…整える、支度をする、飲んだり食べたりする、書き記す。
そんな意味を持つ「したたむ」さん(お店の名前です)。
その言葉の世界を、みずみずしく形にした古民家への旅を楽しみました。
【時間を超えてご縁をつなぐ】
2019年、天竜で開催された「シェフ イン レジデンス」。町を盛り上げるための活動の一環として、古民家を改装した宿の一角で行われた夢のような一夜。地元の食材を使いながら、一流の料理人と茶人が織りなす食のハーモニーを味わったのです。
上記のイベントで偶然相席させていただき、一緒にお食事を楽しんだのが、東京から掛川への移住計画を進行中だったご夫婦。料理人のご主人と、陶芸家の奥さま。
---今は古民家を絶賛リノベーション中なので、ぜひオープンしたらいらしてくださいね。お店の名前はもう決めてあるんです。「したたむ」と言います。
奥さまのうつわに、ご主人の料理を盛り付けるお店をつくるとのお話。陶芸教室もできたらいいな。
その言葉を、私たちはずーっとずーっと覚えておりました。
Facebookでリノベーションの進捗具合や、ワークショップとして学生さんたちと大工仕事をするお姿や、植樹会などの様子を遠くから(電波越しに)見させていただき。
※ご夫婦が本当に手作業でコツコツ草を刈り、竹を切り(もう最近は慣れたとのこと。崖での作業も!)、土を削り、土留めを作り、何もかもを手作りされているのです。恐ろしいほどの面積を誇る内壁、外壁の塗り壁も全て手作業!→壁を抜く、などの専門的な部分だけ大工さんにお願いしたそうです。
2020年6月ごろ、遂にお店を始められたと知るや否や、大慌てで予約をしました。ここ数ヶ月、何かあるごとに集まる4人で。
いざ、「したたむ」さんへ。
【掛川の秘境、山の奥の、そのまた奥へ】
訪れたのは2020年7月の半ば。
奇しくも終わらない梅雨の長雨により、「行きやすいルート」の道路が陥没して、険しい山道コースの通行を余儀無くされましたが。
なんとかしてたどり着いた場所に、白い塗り壁に覆われた静謐な一軒家がありました。築200年あまり。
入店直後から絶叫(ごめんなさい)。感動しすぎて。
雨の日の濃い緑に覆われた、白壁と木目と、古民家の天井部分を染める墨色が織りなす世界。囲炉裏で烟られた木は真っ黒に染まり、対比するような漆喰の白が眩しい。

難しい言葉はいらない。とにかく素敵。
地場産の素材を多く活用するお料理は、「素材と水と少しの調味料だけを使う」というようなシンプルな調理法ながら、気が遠くなるほどの手間暇を経て皿に盛られ、芸術品のような仕上がり。

奥さまの生み出すお皿が、またシンプルで味わいがあって、強くてしなやかで風情がある。
前菜に添えられたギボウシ(食べられるお花)。最近、甘糟幸子さんが書かれた、食べられる草や花の本を読んでいて、ふわっと見た記憶が蘇る(ふわっと、ということは覚えていないということの裏返し)。
とうもろこしのお豆腐。無言で食す(美味しい)。
イチボのローストビーフはほどよい弾力があって、でも柔らかくて、玉ねぎの甘みいっぱいのソースがよくあう。
一皿ごとに、丁寧にサーブされるお料理をいただく時間はゆるりとすぎて、気がつけば3時間!

この贅沢感、すごいです。
食事後も色々とお話しさせていただき、山に住み着く猫ちゃんたちのお姿も拝見し、さらには奥さまの陶芸工房まで見せていただき。ありがとうございました。
【記憶の断片】
この日のキーワードの一つが雑誌「nice things」でした。
店内の書棚に何気なく置かれていて、お邪魔したメンバーの一人がその雑誌を大好きなんだけど、休刊してしまったお話をしたところ。
「友達がたくさん載っているから、私もよく買っていましたよ」
そんな奥さまのお話から、休刊後、クラウドファンディングでの復活企画が始まっている話へ膨らみました。
この雑誌、編集者がじかに全国各地の取材先スポットへ足を運び、事前の下調べも入念に、空気感が伝わる写真と、丁寧な文章で世界観を紡ぎ出す雑誌だそう(すみません、読んでないことがバレる。さっきアマゾンで古本を買ってみた)。


そして「したたむ」さんの器を、お二人が東京にいる頃から取り扱われているのが、掛川の「うつわと雑貨 アンジュール」さん。
素晴らしい体験にふわふわした気持ちのまま、「アンジュール」さんにも足を運びました。
ここでも「nice things」のお話で盛り上がり(「アンジュール」さんは「nice things」の取材を受けたことがあるのです)。もうすでにクラウドファンディングで購入したお話も聞き。

さらにご縁をいただき、「アンジュール」さんから教えていただいて、掛川のカフェ「たまゆら」さんへ。

非日常を超えて、そろそろ別世界かな? という塩梅の1日でしたが、またこの世界観を体験しに行かなくては。
みなさん、ありがとうございました。

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